ハートフル・アーツ
翌朝


「あ…なずな、おはよう。」

幸大が通学路に居たなずなに挨拶をする


「ふんっ!!」


なずながスタスタとはや歩きで通りすぎる


「な!?

待ってくれよ…」

幸大が追い掛けようとする


「おはよーさん。」

幸明が幸大の道を塞ぐ


「師匠…おはよう。

で…朝から何の用だよ。」

幸大が言う


「次の修行なんだけど、設備を整えるのに時間が掛かるから、一週間後に武神流総本山に来てくれるかい?」


「ああ…わかった。」


「それから…君は前回の修行も含め武神流の…僕が残した書物以外の技を会得するだろう。



それは武神流であって武神流ではない。」

「は?」

「つまり、君が次期ではなく正式な武神流継承者になった時に初めて武神流となる。


だから…君が身に付けた武神流以外の技は今後は

武神流我術と分類するよ。」

「分類すると何かあるのか?」

「いや、そう言うわけではないけどやっぱり必殺技には名前が必要だからね。

必殺技の前にでもつけてくれたまえ。」


「ああ…。」


「それと、最後に。」

「何だよ?」


「彼女を今はそっとしておいた方がいい。」

「え?」


「君の言葉は何を言っても彼女には届かない。


だから…君が彼女に言いたいことがあるなら大事にとっておくこと。


彼女が君に言葉を求めたら…君は思ってることを思い切りぶちまければいい。」


「いったい、何のことだよ…」

「まぁ、気にしないで。

師匠として恋のレクチャーも引き受けるよ…って話さ。

じゃーね。」


幸明が立ち去った


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