ハートフル・アーツ
「あ…すまない、大丈夫か?」

なずなが言う

「なんとか…」

幸大が起き上がる


「だが…今のは幸大が悪いんだからな?

これに懲りたら二度と女性の匂いを嗅がないことだ。」

なずなが言う


「なずな、ちょっと頭を下げてくれ。」

「ん?

こうか…?」

ぎゅっ。

幸大がなずなの頭を抱き締める

「な!?

こんな明るいうちから何を!!」


「すぅ〜」


幸大が深く息を吸う


「はぁ…。


別に臭くないし…むしろ好きかもしれないな…」


「幸大、いったい何の話を…」

「なずなの匂いについて…」



「離せ!!

今すぐ離せ!!」

なずなが暴れる


「そう言われると余計に離したくないなぁ…」


幸大が鼻をなずなの髪に直接つけて匂いを嗅ぐ



「バカバカバカバカ!!」


「なずなはいい匂いがするなぁ…

落ち着く。」



「勝手に和むな!!」

バッ!!

なんとか幸大から逃れたなずなの顔は真っ赤だった



「幸大…覚悟はいいか?」

なずなが言う


「いや…その…ごめんなさい。」

「許さん!

デリカシーがないとは思っていたがここまで来ると非道だ!!」



「本当に悪かったって!

何でもするから、許してくれ!」



「…。

何でも?」

なずなの怒りが一気に鎮まる


「ああ…もちろん。」



「だったら…その…」

なずながモジモジする


「何でもいいよ?」

幸大が言う



「明日、私とデート…とかは…」


「良いのか!?」

幸大が言う

「それは私のセリフだと思うが…」

なずなが言う

「いや…まぁ…俺もなずなとデートしたいし…」


「では…約束だぞ?

明日、10時に駅前だ。

遅れたら一生後悔させるぞ?」


なずなが笑顔で嬉しそうに言う


「後悔させるって笑顔で言うなよ…」

幸大が言う
< 64 / 510 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop