12時の鐘が鳴る頃に…
【XⅥ】
誰も居ないロビーに佇む私。
原口くんのお世話係兼運転手さんは合図があると言ってたけど、それがどんな合図なのか教えてはくれなかった。
一体、どんな合図なのか私には分からない。
本当にここに居れば大丈夫なのか。合図に気付くことが出来るのか。
「どうしよう…」
いつもと違いすぎる格好も落ち着かない原因なのかもしれない。
赤いドレス。背中がスースーする。
やっぱり、落ち着かない。