早急に恋に落ちて下さい!
「だいたい、ツグミはのんびりしすぎなのよ。きっと、すぐそばにツグミに想いを寄せる人がいたって、気付きもしないんじゃないの?─そんな経験あるんじゃない?」
「…」
─そう言われれば、あったかも…知れない。
ふと過ぎったのは、仲の良かった同期と結婚したYさんとか…可愛がっていた後輩とできちゃった結婚のT君とかで───…
「ほら、どんぴしゃ」
鋭く目を光らせて、私を見るかずちやんの声に、体がビクリと震えた。
「そ、そんなこと無いわよ……」
反論しながらも、顔が引きつっている自分が悲しい。
そんな私を見て勝ち誇ったように、ニコリと笑うかずちやんが……怖い。
「もう、そのぐらいで勘弁なさい」
濁りすぎた空気を払拭したのは、おばあちゃんの声で
「ツグミちゃん、わたしの部屋に行きましょう」
助けに船─
藁をすがって、立ち上がるおばあちゃんについて行った。