早急に恋に落ちて下さい!
「これ、お母さんが漬けたぬか漬けです」
「あら、まあ─…」
言いながら、差し出したビニール袋を手に取り嬉しそうに微笑んで
「本当によしちゃんのぬか漬けは美味しいのよね…親の私にも出せない味をあの子は出しちゃうんだから─」
「お母さん、コレだけは誰にも負けないらしいから…」
「ええ、私も大好きよ……そうだ!丁度いいわ、一緒に頂きましょう!ツグミちゃん上がりなさい」
こういう時のおばあちゃんは、有無を言わせない。
言葉は優しいけれど、いい返事しか待たない態度を醸し出す。
相手の都合なんかは関係ない。
ゴーイング・マイウェイなところがある。
だからか…誰しもが、おばあちゃんを好きではない。
「あら?ツグミ、いらっしゃい」