早急に恋に落ちて下さい!


その声に振り返る。


「かずちやん…こんにちは」


「はい、こんにちは─って、お母さんそれよしちゃんのぬか漬け?」



「…だとしたら、どうなの?」


ガラッと変わったおばあちゃんの声に、その場の空気が一気に変わる。


「もちろん、わたしも頂くに決まってるじゃないの。わたしが切って来ますから、ツグミ、お茶を入れてちょうだい」


言うが早いか、かずちやんはおばあちゃんからぬか漬けを引ったくるように持ち去って、台所へ去って行った。



一発触発の空気が消えて、おばあちゃんの険しい顔が、また優しい私のよく知っている顔に変わって



「ほら、ツグミちゃん上がりなさいな」


優しく、──有無を言わせない…


「そうそう、ツグミちゃんに話があったからちょうど良かった。さあ、早くお上がりなさい」


「あ、…はい」


返事をして上がり框を上がった。




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