Sweet Heart
 


しかし私の心配をよそに、葵君は平然とした表情で淡々と説明を始めた。


きぃ兄ちゃんも珍しく落ちついて聞いてるみたいだし…



葵君、凄いな…。



「…なるほどな。あのクソ親父が原因ってわけか。」


「まぁ、そういうことですね。」



ひと通り葵君の説明が終わり、静かに納得するきぃ兄ちゃん。



そもそも私と葵君は何1つ悪いことはしていないし、むしろ被害者と言っても過言ではない!


きぃ兄ちゃんも話せばわかってくれるよね?



「…で、お前らは本当に結婚するつもりか?」



きぃ兄ちゃんは目の前にあるお茶を一口含み、真剣な表情で結婚するのかを改めて聞いてきた。



「いえ、結婚しません。親父達が勝手に決めたことです。俺達にその気はありませんよ。」


「うん。だから今は葵君とどうしたら婚約が解消できるか考えてるの。」



葵君に続き、私も同意していることを表す。



…とは言うものの、何も策がないんだよね。



「なるほどな。よくわかった…。」


「きぃ兄ちゃん…。」



━バキッ!



「あのクソ親父!絞めてやる!」


「ひぃっ!」



ようやく私と葵君が本気で結婚するつもりがないことを知ったきぃ兄ちゃんは、怒りの余り机を思いきり叩いた。




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