Sweet Heart
まばたきもせず、真っ直ぐと何かを見ている蘭さんに
私と葵君は蘭さんの視線の先を辿る。
そこには━…
「き…いち…。」
「…蘭。」
何と同じように目を丸くして驚くきぃ兄ちゃんがいた。
へっ?まさか、お知り合い?
きぃ兄ちゃんと蘭さんの間に冷たくて重たい空気が漂っている。
私はそんな気まずい空気に耐えきれず、声を掛けようとした…
「久しぶりね。喜一。」
「あっ、あぁ…。」
すると蘭さんは我に戻り、爽やかな笑顔を向けながらきぃ兄ちゃんにゆっくりと歩み寄った。
きぃ兄ちゃんは声を掛けられたことに一瞬驚いたが、すぐに頷く。
な~んだ!ってきり仲が悪いのかと思った~!
と思い、安心していると━…
━ドカッ!
「てめぇ!どの面さげて帰ってきやがったんだ!?」
「らっ、蘭さん!?」
蘭さんの強烈なパンチにより、きぃ兄ちゃんは綺麗な弧を描いて宙に舞った。
この時、私と葵君はただ唖然としているだけで
実は戦いのコングが鳴ったことに気づいていなかった…