Sweet Heart
第5話 喜一と蘭 前半
━チチチ…
「んー!もう朝か~!」
カーテンから差し込む白い光と、すずめの可愛い鳴き声で目を覚ます。
こんなに平和な朝だと、まるで今までのことが夢のように思えてくる
…実は夢だったりして
いや!きっと夢に違いない!
が、しかし現実はそんなに甘くはなかった…。
「…やっぱり夢じゃないんだ。」
私は荒らされたリビングを見て一気に現実へと戻されてしまった。
「朝っぱらから何言ってんだよ。現実と向き合え。」
「そうですね。」
リビングの前で呆然とする私に、傷だらけの葵君が呆れた様子で私の頭をポンッと叩く。
そう…昨日、きぃ兄ちゃんと蘭さんが再会してしまってから大変な目にあった。
━昨夜
蘭さんがきぃ兄ちゃんの顔面を殴り、緊迫した雰囲気が漂っていた。
さすがのクールな葵君でもこれには驚きを隠せない様子。
らっ、蘭さん…凄い。
あのきぃ兄ちゃんを軽々と吹き飛ばしたよ…。
って、そうじゃなくて!
「きぃ兄ちゃん!大丈夫!?」
私は吹き飛ばされたきぃ兄ちゃんに駆け寄り、無事かどうか確かめた。