Sweet Heart
そして、時計を見ると「じゃあ、行きますね!ありがとうございました!」と言って、走り去った。
彼が去った後、しばらく立ち尽くす。
目つきが悪い人って…まさかヒーローマン(偽)?
でも私にはあんなにも冷たかったのに…。違うよね?
きっと他にも目つきの悪い人が見ていて言ってくれたんだろう。
「…って、私も急いで帰らなきゃ!」
私は考え事をやめて、急いで家に帰った。
━榎本家
「あのクソ親父…。早く帰って来いって言いながら、肝心な親父が遅いじゃん。」
「クソおやじ~!」
「まぁまぁ。楽ちゃんもここちゃんも落ちついて。」
目の前に晩ご飯のハンバーグを並べながら、イラつく楽ちゃんとここちゃんを宥める私。
それにしても、何でもう1つ多めにハンバーグを作らないといけないんだろ?
お兄ちゃんが帰って来るわけじゃないのに…。
一体これは誰の分なのかな?
━ガチャッ
「ただいま~!」
「おかえりなさい!」
するとタイミングよくお父さんが帰って来た。
私は早歩きで玄関へ向かう。
「お父さん遅い!楽ちゃんとここちゃん、お腹空いてるから怒ってるよ!」
「おぉ!それは悪かった!後でお詫びのキスをしなきゃな!」
「それしたら余計怒るよ?」
なんて冗談を言いながら、お父さんから鞄を受け取る。
その時、あることに気がついた。