Sweet Heart
幸兎君の話を聞いてようやく榎本喜一が言っていた意味がわかった
"何たって俺の自慢の妹と弟達だからな!"
榎本喜一は真智ちゃんと楽君を信頼し、そして真智ちゃんと楽君の自由になって欲しいと思った気持ちを大切にしているんだ…
「本当に兄貴も兄貴の家族も思いやりがあって優しくて…感動っす!」
「人望も厚く、正義感もあって俺はそんな兄貴に憧れて黒虎に入ったんです!」
「蘭姉さんも兄貴の魅力にすぐ気づきますぜ!」
幸兎君以外の人達も榎本喜一を尊敬しているみたいで、最後に何か意味深な笑みを浮かべて幸兎君が私に言う
━…この時から確実に蘭の中で榎本喜一の存在がより一層大きくなっていた
お得意先の御曹司からの誘いも断って蘭は毎日のように喜一に会いに行く
最初は蘭のことをただの金持ちの女と見ていた喜一も次第に蘭の強いところや、身分を分け隔てなく接するところなど
蘭の魅力に惹かれていき、いつしか蘭と喜一は付き合うようになっていた…
しかしそんな幸せそうな2人を許さない人物がいた
その人物とは蘭を気に入っていた堀川グループの御曹司…
ある日御曹司は喜一に近づき、喜一に蘭と別れろと脅した…
そして━…
「悪い、蘭…俺と別れてくれ…」
喜一は蘭に理由を話すこともなく別れを告げ、それ以降蘭の前に姿を現すことはなかった