Sweet Heart
「どろぼ~さんだ!」
「ここちゃん!」
「…ったく。今度は何だよ…。」
好奇心旺盛なここちゃんは素早く椅子から立ち上がり、玄関の方へ走り
私は、慌ててここちゃんを追いかける。
楽ちゃんはと言うと面倒くさそうにため息を吐いていた。
「ここちゃん!あぶな…」
ここちゃんの腕を掴み、ここちゃんを叱ろうとしたが
言葉を失ってしまった…。
「失礼いたします。」
「こっ…こんばんは…。」
何と目の前ではサングラスにスーツ、背丈は2メートル近くもあるかと思われる程、大きくて怪しい男の人が立っていた。
私は思わず固まってしまい、ここちゃんは怪しい男の人を見て更にはしゃいでいる。
ある意味、ここちゃんが恐ろしいよ…。
「早く降ろしやがれ!」
どこからか声がすると思い辺りを見まわすと、ブレザーの制服を着た男の子が怪しい男の人に担がれていたのが見えた。
「お~!さすが香山!よく葵を連れて来てくれた!」
「いえ。当然のことでございます。」
「連れて来たんじゃねぇ!無理やり捕まえられたんだ!」
そう言って男の子は軽く五十嵐さんの頭を叩いた。