Sweet Heart
第6話 喜一と蘭 後半
━数日後
「真智ー!そこにあるペンキとってー!」
「はーい!」
文化祭の準備は着々と進んでおり、放課後も時間ギリギリまで残って作業をしていた
「…で?今日も葵君とは会話なし?」
「……はい」
看板の製作作業をしていると、同じく作業をしている亜沙美に話しかけられた
最近、決まって亜沙美は葵君の話を私にする
それもそのはず…最近、私と葵君の間にはあまり会話がないからだ
きっかけは鳥羽さんからきぃ兄ちゃんと蘭さんの過去を聞いて、私が葵君に仲直りさせようと誘った時…
葵君にきぃ兄ちゃんと蘭さんに関わるな、と言われてから何だか話しづらくなってしまった
葵君は兄弟と言えどあまりそういった深い事情には関わりたくないみたいだけど
私は兄弟だからこそ何とかしてあげたいって思う…
だけど、私の気持ちを言っても葵君には冷たく否定されるに違いない
そう思ったら、葵君に話しかけるのが怖くなり、葵君を避けるようになってしまった…
「いい加減にしなよ!ただでさえベストカップルコンテストでぎくしゃくしてるのに、悪化させてどうするの!」
「だって…」
勘の鋭い亜沙美には誤魔化すこともできず、きぃ兄ちゃんと蘭さんの話もした
そのため全ての事情を知っていて、こうして私が余計に事態を悪化させてしまったことに怒っている
その度私は何も言い返せず、ただ小さい声で反論するしかなかった