Sweet Heart
いっ、一体何がどうなってるの…?
「真智~!お父さんが本気で会社を辞めるわけないだろ!」
「はっ?」
「…何であんな下手くそな演技に騙されるかな。」
「演技~!?」
楽ちゃんは呆れたようにため息を吐いた。
演技って…
まさか私…騙された!?
「打ち合わせしといて良かったな、努!」
「さすが元演劇部!完璧な演技だったよ!」
「…どこが完璧なんだよ。」
お父さんと五十嵐さんはハイタッチをして喜んでいた。
私とヒーローマン(偽)は口をだらしなく開いたまま。
「そんなの納得いかない!私は絶対…『…わかった。良いよ。』
…へっ?
「残念だけど証拠があるから今さら"なかった"は無しだよ。」
「いつの間に…。」
五十嵐さんは私が承諾した時の声を録音したカセットテープを見せて怪しく笑った。
どうやら録音した犯人は香山さんみたいだ。
完全にやられた…。
「待てよ。こいつは承諾したけど、俺はまだ"良い"とも言ってないぜ。」
するとヒーローマン(偽)が証拠を見せつける五十嵐さんに向かって言った。