Sweet Heart
 


いっ、一体何がどうなってるの…?



「真智~!お父さんが本気で会社を辞めるわけないだろ!」 

「はっ?」


「…何であんな下手くそな演技に騙されるかな。」


「演技~!?」



楽ちゃんは呆れたようにため息を吐いた。



演技って…


まさか私…騙された!?



「打ち合わせしといて良かったな、努!」


「さすが元演劇部!完璧な演技だったよ!」


「…どこが完璧なんだよ。」



お父さんと五十嵐さんはハイタッチをして喜んでいた。



私とヒーローマン(偽)は口をだらしなく開いたまま。



「そんなの納得いかない!私は絶対…『…わかった。良いよ。』



…へっ?



「残念だけど証拠があるから今さら"なかった"は無しだよ。」


「いつの間に…。」



五十嵐さんは私が承諾した時の声を録音したカセットテープを見せて怪しく笑った。



どうやら録音した犯人は香山さんみたいだ。



完全にやられた…。



「待てよ。こいつは承諾したけど、俺はまだ"良い"とも言ってないぜ。」



するとヒーローマン(偽)が証拠を見せつける五十嵐さんに向かって言った。





< 24 / 179 >

この作品をシェア

pagetop