Sweet Heart
そして今に至るのです。
「…って、ウジウジと隠れてんじゃねぇよ。クソ親父。」
「うぅ!楽ちゃん放してよ!あと、クソ親父はやめて~!」
楽ちゃんはリビングのドアの後ろに隠れているお父さんを、まるで猫の頸を掴むようにして私の前に連れて来た。
何か楽ちゃんが父親でお父さんがダメ息子って感じ…。
「親父が同棲させるって決めたんだろ!今更寂しがってんじゃねぇよ!」
「だって一人娘が家を出て行くんだよ!自分で決めたことってわかってても寂しいよ~!」
お父さんは泣きながら私に抱きついた。
…お父さん。
そんなに私のこと想ってくれてたんだ。
「大丈夫だよ!二度と戻って来ないわけじゃないんだし、泣かないで?」
「ま…ち…。お前って奴は~!」
私が泣きじゃくるお父さんの頭を撫でながら慰めると
お父さんは更に力強く私を抱きしめた。
そ…そんなに締めつけると…苦しい!
相変わらず親バカなお父さんだな~と思いながら、お父さんを引き離す。
「何かあったら俺達にも連絡するんだよ!」
「うん!わかった!」
私の肩を掴んで言うお父さんに、私は笑顔で応えた。