Sweet Heart
私の笑顔を見て安心したお父さんは、頭を撫でて「がんばれよ」と言った。
「じゃあ、私行くね!楽ちゃん、ここちゃんとお父さんをよろしくね!」
「あぁ。」
「何で俺が息子に面倒を見てもらうんだよ━!」
なんていつものような他愛のない会話に笑いながら、私はみんなに手を振って家を出て行った。
これからどんな日常が待ってるんだろ?
楽しくやっていけたら良いな…。
私はこれからの新しい生活に少し不安を抱きながら、
半分しかないクローバーのリングが通っているネックレスをギュッと握りしめた。
「ここかな?」
五十嵐さんに貰った地図を頼りに、私はあるマンションの前に到着した。
まず私が思ったことは…
マンションが思った以上に大きすぎる!
てっきり私みたいな庶民が住んでるマンションかと思ったのに
セレブや一流芸能人なんかが住んでそうな大きいマンションだよ!
きっと、何かの間違い…だよね?
「榎本真智様でございますね?」
「へっ?」
すると、突然誰かに名前を呼ばれたものだから、思わず間の抜けた声を出して振り向いた。
「私、五十嵐様より榎本様をお迎えにあがるよう任された、秘書の鳥羽と申します。」
振り向くとそこにはスーツを来た綺麗な女の人がいた。