Sweet Heart
それから一通り鳥羽さんから説明を受け、理解していった。
「それでは私は仕事がありますので、失礼いたします。
あとは香山が葵様を連れて参りますので、それまでしばらくお待ち下さいませ。」
「はい!あっ、鳥羽さん!」
部屋を出て行こうとした鳥羽さんを呼び止め、私は鳥羽さんの元へ走り寄る。
「私のこと榎本様じゃなくて、真智って呼んで下さい!」
「えっ?」
「私、榎本様って呼ばれる程偉くないし、それに鳥羽さんは私の友達でしょ!」
私はそう言ってニッコリと笑った。
…って、勝手に友達って言っちゃったけど迷惑だよね。
「はい。もちろんです。真智さん。」
しかし私の不安をよそに、鳥羽さんは快く認めてくれた。
鳥羽さん…笑顔が素敵すぎる!
そんなことを思いながら、鳥羽さんが仕事に戻るため玄関先まで見送り、手を振ってお別れをした。
「鳥羽さん良い人だな~」
私は将来、鳥羽さんみたいな大人の女性になりたいな…と思いながらリビングへ戻り
葵君が来るまで荷物を片付けることにした。
「葵君、早く来ないかな~」
時計の針が動く音が大きく聞こえ、虚しく鳴り響く…。
私は広い部屋に1人、取り残されてしまい段々心細くなっていた。