Sweet Heart
すると
━ピンッ!
「いっ、痛~い!」
「お前は"でも、でも…"言い過ぎなんだよ。」
葵君がウジウジする私に腹を立てたのか、おでこに軽くでこぴんした。
「必ず俺が何とかするって言ってんだ。お前は俺を信じろ。」
そう言って、葵君は頬杖をついて真剣な顔つきで私を見る。
私がピンチな時、葵君は私を助けてくれた…。
不良に絡まれてる時も
私が1人でお父さんと五十嵐さんに抵抗した時も…
「うん。私、葵君を信じるよ。」
私は葵君を信じよう。
「…ったく。かなわねぇ。」
「へっ?」
なぜか葵君は私の顔を見るなり、私から顔を逸らした。
あれ?私、また変なこと言ったかな?
「てか、さっきから気になってたんだけど…。」
「今度は何だよ?」
「私のこと"あんた"や"お前"しか呼んでない!」
そう。私が気になってたこと…
それは私の呼び方!
「私は榎本真智って名前があるの!
せめて真智って呼んでよ!」
私は拗ねたように頬を膨らます。
だって私は葵君って呼んでるのに
"あんた"や"お前"じゃ、まるで他人みたい!
そんなの寂しいよ…。