Sweet Heart
しかし
「ちょっと待てよ。」
葵君は私の手を掴み、リビングに向かうのを止めた。
「何言われたんだ?」
「………。」
私は気まずくなって、手を掴まれたまま黙り込む。
言えないよ…。
一緒に寝ろって言われたなんて…。
「俺を信じるって約束したろ?言ったからって、俺は真智を嫌わねぇよ。」
「葵君…。」
「だから言ってみ?」
葵君は凄い…。
葵君の一言は力強くて
私をそれだけで安心させちゃうんだもん。
「…変なこと言うけど、良い?」
「良いよ。」
少し間をあけ、私が恐る恐る葵君に話し掛けた。
葵君はコクリと頷く。
「あのね…お父さんに今日から葵君と一緒に寝なさいって言われたの。」
「…はっ?」
「あと、お父さんと五十嵐さんが早く孫の顔が見たいって…。」
話終わった後、葵君は黙り込んだ。
うわぁ…
葵君、絶対呆れてるよね!
「何考えてんだ…あのクソ親父達は…。」
そう言って、葵君は壁を思いきり殴った。
壁が軽くへこんでいるのを見て、私はただ苦笑するしかなかった。