Sweet Heart
「…で、あんたはいつまで睨みつけてんのよ。」
「むっ!」
そんな中、1人だけ馴染めていない人がいた…。
「武蔵も葵君に自己紹介しなよ。」
「なっ!俺は別にあいつのこと認めたわけじゃねぇし!」
そう、その人物は武蔵。
武蔵は人見知りなんかするような人じゃなく、誰でもすぐ仲良く接する方なのに…
何で葵君に対しては冷たいんだろう?
「チッ。気に喰わねぇから先に行く!」
「ちょっと武蔵~!」
武蔵は軽く舌打ちをすると、不機嫌な様子で先に学校へ行ってしまった。
「放って置きなさいよ。どうせ葵君が格好良いからってひがんでるんでしょ。」
「まぁ、葵君も気にしないで。あいつ、最上級のバカだから。」
「2人共ひどいな…。」
相変わらず武蔵に対してはひどい亜沙美と流唯に、私は苦笑するしかなかった。
本当、亜沙美と流唯は武蔵をいじめるのが好きだな…。
そんなことを思っている私とは裏腹に、葵君は黙ったまま武蔵の背中を見つめていた。
「じゃあ、俺は職員室行ってるからまた後でな。」
「うん!じゃあね!」
4人で登校しているとあっという間に学校へ着き、
葵君は転校生ってこともあって職員室の前でお別れをする。
「ちょっと武蔵の様子も気になるし、先に教室へ行くね!」
「行ってらっしゃーい!」
そして私は葵君を見送った後、武蔵と話すためすぐさま教室に向かった。
「な~んか面白くなりそうね~」
「そうだね。」
亜沙美と流唯が怪しい笑みを浮かべているとは知らずに…。