Sweet Heart
ドアが開き、教室へ入ってきたのはやはり葵君だった。
…女子が葵君を見てざわめく。
まぁ、葵君は格好良いから当たり前か。
「鳳学園高校からきた五十嵐だ。今日からクラスの一員だから仲良くするように!」
「…五十嵐葵です。」
初対面だというにも関わらず葵君は無愛想な表情で挨拶をした。
せめて笑って挨拶しようよ!
このままじゃ、クラスのみんなと仲良くなれないって!
私が葵君を心配している中、花井先生は葵君の席を指差し、葵君は言うとおりに席へ移動した。
「葵君、せめて笑顔で言いなよ~!」
「…別に、どうでも良いし。」
通路を挟んで私の隣の席が葵君の席で、注意をするため私は小声で葵君に話し掛ける。
しかし当の本人は全く気にしていない様子…。
うわぁ…。葵君がこの調子だと武蔵とも仲良くできなさそうだな…。
「まぁまぁ!とりあえず同じクラスで良かったじゃん!よろしくね、葵君!」
「あぁ。よろしく。」
「む~!」
隣の席に座る亜沙美は私を落ち着かせ、顔を出して葵君に手を振った。
私はというと内心納得がいかず、少し頬を膨らませていた。