Sweet Heart
1時間目は花井先生が担当する数学。
私は筆記用具と教科書を机の上に出して授業の準備をした。
「あっ!そういや葵君、教科書は?」
「香山が今日の授業の用意を持って来てくれたからある。残りは家に送ったってさ。」
さすが香山さんだ…。準備がよろしいようで…。
それにしても、あのがっちりした体格にサングラス姿の香山さんが来て、先生達は怖かっただろうな…。
なんて思いながら、授業に戻って真剣に話を聞く。
「じゃあ、さっき当てられた人は前に出て問題を解きに来るように。」
花井先生が教科書に載っている練習問題を黒板に書き終え、事前に当てられた人に向かって指示をした。
その当てられた人とは…
「武蔵~!できた?」
「わかんねぇからできてねぇ~!」
通称、"おバカコンビ"と呼ばれている、私と武蔵…そして、
「葵、当てられてるのに寝てる。」
「あんの野郎~!」
流唯が苦笑しながら見つめる人物、葵君だった。
…寝てるみたいだけどできたのかな?
「早く書きに来いよ~!」
「「はい!」」
しかし他人の心配などしてる余裕もなく、私は武蔵と一緒にわからないまま前に出てしまった。