Sweet Heart
「おバカコンビ、あまり無理すんなよ~!」
「うっせぇ!気が散るから黙れ!」
「う゛~!わかんないよ~!」
黒板の前で唸る私と武蔵。
背後からは私達をからかってくるみんなの声が聞こえる…。
せめてアドバイスとかしてよね!
「おい、五十嵐。お前も早く前に行って答え書けよ。」
「…んっ?答え?」
「葵、3番目の問題当たってるよ?」
花井先生に起こされ、ゆっくりと体を起こす葵君。
寝ぼけているのか状況がうまく読めておらず、流唯が黒板を指差して教えた。
一瞬面倒くさそうな表情を見せるが、当たったものは仕方ないので流唯にお礼を言ってから立ち上がる。
「何やってんだよ。」
「あっ、葵君!何って…わからないから考えてるの…。」
私がそう応えると、葵君は「はぁ?どれがわかんねぇの?」と言って私のノートを取り上げた。
そして葵君は私が途中まで書いた計算式をジッと見つめる。
何か凄く真剣に考えてるけどわかるのかな…?
「こんなの簡単すぎだろ。」
「かっ、簡単すぎ!?」
葵君の予想外の発言に、私は思わず大声を出しながら驚いてしまった。