Sweet Heart
 


そんなこんなで、少し波乱が起きた1時間目が終わり、2時間目の体育を迎える。



「葵、男子の体育は柔道なんだけど柔道着とか持ってないよね?」



亜沙美と女子更衣室に行こうとした時、流唯が柔道着を持って葵君の所へ近寄った。


ちなみに女子はマット運動です!



「大丈夫。体育が柔道っていうのは調べ済みだから持ってる。」


「へぇ~。準備が良いんだね。」



流唯が感心しながら頷くと、葵君は最後に「俺が用意したんじゃねぇけどな」と言う。



そっか!さっき香山さんが持ってきてくれたって言ってたね!



「葵君も問題ないみたいだし、更衣室に行こう!」


「うん!じゃあ、また後でね!」



私は安心し、葵君と流唯にひとまずお別れを言ってから、亜沙美と一緒に教室を出て行った。











香山のおかげで何の心配もなく授業が受けられる。


まぁ、正直授業をサボるつもりでいたから別に用意なんか必要なかったけどな…。



俺はそう思いながら、鞄から柔道着を出そうとした…



「…なっ!」



…が、俺は鞄から柔道着を取り出せずに固まってしまった。



こんなことをするのはあいつしかいない。



柔道着の背中の部分に、でかでかと見える文字を見ながら手を震わせる。



"決めろ!真智の心に愛の1本!"



「ん?着替えないの?」


「…あぁ。先生に言って柔道着を借りてくる。」



そして首を傾げて頭に"?"を浮かべる流唯を残し、怒りを抑えながら教室を出て行った。



次、あのクソ親父に会った時はぶっ殺す!




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