Sweet Heart
 


こいつ…本当は俺が思っているより悪い奴じゃなさそうだ。



けど今さらもう仲良くは…



「ったく。真智の許嫁っていう理由だけで避けられてたのかよ…。」


「…わっ、悪ぃ。」



五十嵐にしてみれば、身に覚えがないのに避けられてたなんて気分が悪い話に違いねぇのに…


俺は五十嵐の気持ちも考えずに最悪なことをした。



「本当に悪かった!数学の時は俺に答えを教えようとしてくれたし、


体育の時なんか不意に襲いかかって"満足したか?"なんて言われて…

自分がどれだけ未熟な男だったことを思い知らされた…」



そんな最低なことをした俺に、五十嵐ははっきりと教えてくれた。



自分の思い通りにならないからって卑怯な手を使い、


それで大事なものを得ても最後には何も残らない…



残るのは自分に対しての嫌悪感…。



「はっ?俺、別にそういう意味で"満足したか?"って聞いたつもりねぇんだけど。」



俺は改めて五十嵐に今までしてきたことについて頭を下げて謝ったが、


五十嵐は意外にも平然な様子で、むしろ何のことかわかってもいないみたいだ。



…そういう意味で言ったんじゃないって、五十嵐は一体どういう意味で言ったんだ?




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