Sweet Heart
「武蔵を探しに出て行った真智が何で1番来るのが遅いのよ。」
「えっ!…そっ、それは…」
亜沙美の鋭い質問に、真智は気まずそうに目を泳がせている。
まっ、まさか!3年の男子共に捕まってたんじゃ…
「武蔵を探しに教室を出たのは良かったけど、どこに居るかも全く検討がつかなくて思い当たる所を全部探していたら…、
道に迷って迷子になってました…。」
「俺より長い間学校に居るのに迷子とかあり得ねぇだろ…。」
恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら頭を掻く真智に
五十嵐は容赦なく誰もが思っていたことを呆れたようにため息を吐いて言った。
未だに学校の中がどうなってるかわからないなんて、真智らしいというか何というか…
「それより、武蔵!私、武蔵に話があるの!」
「俺に話?」
俺がそう言うと、真智は真剣な顔で頷く。
「葵君の何が気に入らないかわからないけど…葵君、本当は良い人だから仲良くしてほしいの!
私は葵君も武蔵も大事だから2人が仲良くないと寂しいよ…。」
真智は言い終わると、今にも泣きそうな顔をして俺と五十嵐を見つめた。