Sweet Heart
「もしもし?」
『あっ、姉ちゃん。俺、楽だけど…』
「楽ちゃん!久しぶり~!」
何と電話の相手は弟の楽ちゃんだった。
相変わらずクールで落ちついているな~。
「楽ちゃんから電話なんて珍しいね!どうしたの?」
久しぶりに楽ちゃんの声が聞けて嬉しくなりながら、電話をしてきた理由を聞く。
『そこに葵さん居る?』
「葵君なら居るよ?葵君がどうかした?」
なぜか楽ちゃんの口から葵君の名前が出てきて、私は不思議に思い頭を傾げる。
珍しいな…楽ちゃんが葵君に何か用でもあるのかな…?
『なら、葵さんに今から家を出て遠くへ逃げてもらって。』
「えっ!?葵君が何で逃げなきゃ…」
『理由はすぐにわかるよ。とにかく俺は今からそっちに向かうから葵さんを逃がしといて。』
━ブチッ…プー…
「ちょっと楽ちゃん!…って切られちゃった。」
「どうした?」
楽ちゃんの言っている意味を全く理解することができず、疑問だらけのまま受話器を元に戻した。
葵君は私の異変に気づいてソファから立ち上がる。
葵君が逃げなきゃいけないってどういうことなんだろう…。
私は嫌な予感をさせながら葵君に事情を説明した。