Sweet Heart
事情を説明した後の葵君は、私と同じように疑問を浮かべたような顔をした。
「葵君、何か悪いことしたの?例えば、警察に追われるようなこととか…」
「するわけねぇだろ!お前は俺を何だと思ってんだよ!」
…泣く子はもっと泣きそうな目つきの悪いヒーローマン
って言ったら間違いなく怒るよね?
「とにかくだ、真智の弟が言ってるんだから本当に何かがあるんだろうな。」
「うん。楽ちゃんは嘘なんてつくような子じゃないし…」
私は葵君の言葉に頷く。
お父さんはともかく、楽ちゃんはふざけたような行動はしない…。
だからきっと葵君が逃げないと何か大変なことが起きるんだ!
「こうしてる場合じゃないよ!早く逃げて!」
「早く逃げてって言われてもどこに行けば良いんだよ…。」
葵君に一刻も早く逃げてもらうために背中を押すが、葵君はダルそうにゆっくりと歩く。
しかし、時既に遅し…。
━プー!プー!
外から大音量に鳴らされたクラクションの音が聞こえてきた。
私と葵君は何事かと思い、外の様子を見るためベランダに出た。