不器用上司のアメとムチ

そこで私はふと、あることを思い出した。京介さんと久我さんは、確か同期なはずだ。

仲が良さそうには見えないけど、それで情けをかけてくれたりしないかな……


「あの……仮にですけど、私の好きな人が京介さんの友達とかだったらどうするんですか……?」

「友達……?それなら心配無用だ。僕はこの会社に友達なんか居ない」

「じ、じゃあ同期とか!!!」

「…………同期」


京介さんがいきなりソファから立ち上がり、長い足で颯爽とデスクの方まで移動した。

そして引き出しから何かのファイルを取り出すと、パラパラ捲ってあるページで手を止める。


あたし、もしかして余計なことを言ったんじゃ……


「僕の入社した年は業績が思わしくなくてね、新入社員の採用が極端に少なかったんだ。しかも、今日までに辞めてしまった者もいる……
今この会社に残っているのは僕と久我と吉沢だけだ。吉沢は確か入社してすぐに結婚したはずだから――――」


わ、わ、どうしよう……

やっぱり、余計なこと言ったみたい〜〜!!

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