不器用上司のアメとムチ
7.身勝手な嫉妬心
◇久我 猛side◇
「久我さん、顔が恐すぎるんですけど……」
「――――あん?」
「いや、やややっぱ!何でもないです!!コレに判子下さい!」
「……ああ」
佐々木の持ってきた書類を上から下まで眺め、不備がないことがわかると俺は乱暴な動作で判を押して書類を返す。
逃げるように自分の席に戻った佐々木。
その向かい側の席が昼から空いたままであることに、俺は苛立ちを覚えていた。
あの馬鹿……何やってんだ。
霞も霞で、何で今さらアイツに用があるってんだ。
姫原小梅は俺の部下。
もうお前には関係ねぇだろ……
「――――チッ」
……ニコチンが切れたらしい。
俺はシャツの胸ポケットに触れて煙草の箱があるのを確認すると、管理課のある建物の外に出て喫煙所に向かった。