不器用上司のアメとムチ

「ど、ど、ど……」


どうしたんですか、久我さん!
あなたがそんなくさい台詞を言うなんて!!

と、言いたいのに、どもりまくっただけで言葉にならない。

きっと真っ赤になっているだろうあたしを見てふっと笑った久我さんは、ベッドから一番遠い場所にいる聡さんに視線を向けた。


「……と、言うわけだから。お前が気にすることはもう何もない」

「猛……」

「長い間苦しませて悪かったな……」

「いや……ありがとう」


……何の話をしてるんだろう。

全然分からないけど、とりあえず解決したみたいだ。

ふぅ、と小さく息を吐いて何気なく横を見ると、一人で恨めしそうに膨れっ面を作る光くんが目に入った。


「ぼくをムシしないでよ!」

「あ?ああ、小さくて目に入らなかった」

「〜〜〜!!タケシむかつく……いまはぼくより弱いくせに」


今にも久我さんに飛びかかろうとする光くんだったけど、渚さんに押さえつけられてそれは叶わなかった。

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