不器用上司のアメとムチ

「こら、怪我人に乱暴しないの。でも、どうして急にこのお姉さんと結婚したいなんて言うの?」

「……だって、本物のおひめさまみたいなんだもん」

「本物?」

「ぼく、こんなキレイな人初めて見たよ。本物のおひめさまだからでしょ?」


光くん……か、可愛い!!

あたしは思わず光くんをぎゅっと抱き締めた。


「おい、四歳だって男は男だ。下心があるかもしれねぇから離れろ」


……久我さん、大人げない。

下心って……酔ったあなたじゃないんですから。


「タケシ、元気になったらけっとうだ!おひめさまは渡さない」

「……望むところだ。お前なんか指一本で倒してやる」


そう言って火花を散らした叔父と甥。

大人が幼児と何を張り合ってるんだか……

あたしは呆れながらも、その微笑ましい光景に心が温かくなっていた。

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