不器用上司のアメとムチ
「……いい加減、シャワー浴びなきゃ」
はぁ、とため息をついて立ち上がり、シャツのボタンに手を掛ける。
ちょっと着ただけだから、そのまま戻していいかなぁ……
そんなことを考えながら、プチプチとボタンを外しているときだった。
「…………なんつー格好をしてるんだお前は」
「あ……」
いつの間に起きたんだろう。まだちょっと気だるそうな久我さんが、あたしの背後に立って苦笑していた。
どうしよ……シャワー浴びたくて服借りましたって言えばいい?
「俺を挑発してる、と取っていいのか?」
「ま、まさか……!あたしはただシャワーを浴びたいから着替えを探してて……」
「……だとしてもなんで今着てるんだ。下着まで外して」
「う……」
……これは白状するしかなさそうだ。あたしはうつむきがちに、口を開いた。
「……久我さんに抱き締められてる気分になれるかなって……」
「は……?」
「だって寝ちゃうんだもん……放っておかれて寂しかったんです」
「……そうか。それは悪かった。で、満足したのか?その服で」
……久我さんの意地悪。そんなわけないじゃない。
あたしがむくれていると、ふっと彼が笑う声がして後ろから抱き締められた。
「待たせたな……小梅。ここは会社じゃねぇしもう誰にも邪魔されないから、お前の全部見せろ」
「シャワーは……?」
「んなもん後に決まってんだろ……」
ぐい、と顎を掴まれて、強引にキスをされた。
あたしはそれでもう、ノックアウト。
ただ彼のくれる刺激を受け止めて、ため息を漏らすしかできなくなってしまう。