不器用上司のアメとムチ
でも、深山さんみたいな可愛らしい人が財布を盗るだなんて……
人は見かけによらないって言うけどさすがに驚きだ。
「問いただしたらあっさり認めたよ。なんでそんなに金が要るんだって聞いたら、ホストにはまって借金までして貢いでたらしい。
すっげー泣きながらごめんなさい、もうしませんって言うから、俺、深山チャンがなんか可哀想になってきちゃって……
そんで……その次の日に、みんなの前で言ったんだ。“俺がやりました”って。だーれも疑わなかったよ。俺、こんな見た目だし普段から信用されてなかったんだろうな。……だから、課を追い出されてここにいるってわけ」
「佐々木……あんた」
ああ、なんか泣きそう。
こいつ、軽くてチャラチャラして、いけ好かない奴だと思っていたけど……
「本当はいい奴だったのね……」
あたしは佐々木の手を握って、少し潤んでしまった目で彼を見つめた。