不器用上司のアメとムチ
「あ……今のは、その……」
たちまち耳まで赤くなる佐々木。
真っ赤な二人にはさまれて居づらいあたしは、椅子のキャスターを滑らせてそっと自分の席に戻った。
「……梅、帰るぞ」
いつの間にか背後に居た久我さんが、あたしの肩を叩く。
「えぇ?今、いいところなのに……」
「だからだっつーの。邪魔者は退散」
「はーい……」
あたしは身支度を整え、パソコンの電源を落として久我さんのあとに続く。
扉のところで深山さんに「頑張ってね!」と声をかけてから、あたしたちは会社を出た。