不器用上司のアメとムチ

佐々木は意外と真面目なやつで、「きっと適当な久我さんは教えてないだろうから」と、管理課がどんなことをする部署なのかを、丁寧に教えてくれた。


社員の勤怠の管理、工場勤務の社員たちが着る制服の管理、事務用品の管理、洗剤や備品の管理、ごみ置き場の清掃……

管理課の仕事は、雑用中の雑用だった。


「ま、でも俺らがいないと社員たちは困っちゃうわけだし。
事務用品だってかなり高額なものもあるから、申請書書くときなんかは、単価と数に気を付けてね」


「……は、はい!」



佐々木は、必要なものを発注する時に久我さんやそのまた上の人に、その内容を見せるための申請書の作り方を、パソコンで教えてくれた。

申請書を見せて許可がもらえなければ、経費で買ってもらえないらしい。


あたしが今回頼むのは、ホチキスの芯30箱。



「佐々木、電卓ある?」

「電卓……?」

「75円×30箱がわからない」

「梅チャン……本当にクソ頭悪いね。つーかこれは数入れれば勝手に計算してくれるから、自分で考えなくていいって最初に説明したじゃん」

「そ、そうだっけ……」


うぅ……あたしって本当にクソ頭悪いかも。

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