不器用上司のアメとムチ
カタカタと、ぎこちないキーボードの音が響く18時過ぎの管理課……
終業時間ぴったりにさっさと上がってしまった女性二人はもうここにはおらず、あたしと佐々木だけが残って作業している。
実際に仕事をしているのはあたし一人だけど、佐々木は“近くで見てないと怖いから”と一緒に残ってくれているのだ。
「で……できた!」
「おつかれ〜。んじゃちょっと見せて」
本日最後の申請書を作り終え、あたしは凝り固まった肩をぐるぐる回してうーんと伸びをした。
その間佐々木があたしのパソコンを覗いてミスがないかチェックしていて、ないことが無事にわかると「よし!」と呟きパソコンを閉じた。
「はぁ〜マジ疲れた」
「ごめん……あたしのせいで」
「んや、まぁ最初だし仕方ないっしょ。それよりさ……」
傍らに立ったままの佐々木があたしをじっと見下ろす。
真面目な顔してどうしたのよ急に……
「……梅チャン、やっぱ久我さんとデキてんでしょ」
何を言うかと思ったら……
佐々木、あんたもか。