不器用上司のアメとムチ
寝室に行く途中、開け放たれていたリビングの扉から中を見て、あたしは息を飲んだ。
一瞬見ただけでも、すごい量のお酒がテーブルに置かれていたのがわかった。
まるで酔うために用意したみたいに、種類もたくさん……
「久我さん……どうしてそんなになるまで飲んじゃったんですか?」
「ん〜〜なんでだっけなぁ」
そう言いながらも全く真剣に考えてない様子の久我さん。
今は話を聞くのは無理か……
完全な酔っぱらいだもんね。
なんとか久我さんをベッドまで連れていき、どさっと降ろした(落とした)ときにはもう汗だくだった。
「…………悪いな、梅」
「ほんとですよ……あ、これお見舞いの品です。冷やすものは冷蔵庫に入れちゃいますね。どうせ今は何も食べられないですもんね?」
コンビニの袋を持って、部屋を出ていこうとしたあたし。
でも、行き着いたのはなぜかベッドの上。
「……なんの冗談でしょうか」
掴まれた手首と、真上にある彼の顔を交互に見てあたしは言った。