不器用上司のアメとムチ

上機嫌のあたしは、好奇心の赴くままリビング内をうろうろし始めた。

さっき拭いた黒いローテーブルの他に、この部屋には机やテレビ、漫画の詰まったカラーボックスなんかがあって、生活感が少し感じられる。


気になるのは……やっぱり、机の引き出し?


女の子なら、学生の頃親に見られたくないものは机の引き出しに入れて鍵をかけたものよね。

なんて、でも独り暮らしの男が隠すものなんて何もないか……


あたしはそんなことをぐるぐる考えながら、机の引き出しを上から順に開けていった。

エッチな本やDVDでも出てくれば、少しは面白いんだけど……堅苦しい書類や文具しか出てこない。


「つまんないの……」


勝手に他人のプライバシーを覗いた上文句を言う不届きなあたし。

でもようやく一番下の引き出しを開けたときに、少しは興味を引くものが出てきた。


「アルバム……?」


自分で買ったんじゃなく、きっとカメラ屋さんがくれたものであろう紙製の薄いアルバム。

表紙のふわふわしたトイプードルが、久我さんに似合わなすぎて笑ってしまう。

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