不器用上司のアメとムチ

「それが解ってんなら、別にいい。さっさと穴開けて閉じて、次の仕事をやってもらいたい」

「はい!あ、あの、もう一つ聞きたいことが……!」

「なんだ?」

「どうやったら、ちょうど真ん中に穴を開けられるんでしょうか……」


真剣に聞いたつもりなのに、久我さんはあたしの質問を聞いてぶははと笑い出した。


「そうだよなぁ、一度もやったことないなら解んなくて当然だ。紙を半分に折って、その折り目をパンチの印に合わせろ。そしたらちゃんと真ん中に穴が開くから」


笑われたことは心外だけど、言われた通りにやってみる。


「……で、できました久我さん!」

「おーおー、良かったな。穴開けただけで喜ぶ奴は初めて見た」


嬉しい…!仕事したって感じ…!

久我さんと一緒に笑い合っていると、その雰囲気を壊すような冷たい声があたしたちに掛けられた。


「久我さんも、美人には甘いんですねー、なんかちょっと残念」


振り向くと、森永さんがパソコンから目を離してあたしたちを見ていた。っていうか……あたしを睨んでる?

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