不器用上司のアメとムチ
裏切られたって、どういうことだろう……
きっと、相手は写真の女の人だよね。
浮気されて、だからバツイチになっちゃったとか……?
「余計に、返しづらくなっちゃったな……」
あたしは眠る前に、ベッドに仰向けになりながら例の写真を眺めた。
久我さんに愛されたひと……
そして、彼を裏切ったひと……
あたしが、その傷を癒せるほどの存在ならよかったのに……
きっとこのまま、いつまでもペット扱いから抜け出せないんだ。
…………それでも。
「好き」
「好きだ」
「……好きです」
「好きなもんは好きっ!!」
天井に向かって一人、胸の内を吐き出したあたし。
無意識に脳がそこに映し出すのは、やっぱり久我さんの顔で。
「いいよね、勝手に想うだけなら!」
目の端に滲んだ涙をごしごしと拭って、あたしは頭からタオルケットをかぶった。
「………………暑っ!!」
……こんな日に限って、熱帯夜。
あたしはなかなか寝付けないのであった。