メゾン・ド・フォーチュン
私は、大丈夫という外浦くんを、

押しかけて引越しを手伝った。

折角知り合いが住人になってくれたのだから、

せいぜい恩を売っておいて

この際色々お世話になっちゃおうと言う

図々しい思惑からだ。

親子二人だと何かと不自由なことが多い。

頼れる人は1人でも多く欲しい。

「サンキュー色々助かったわ。

 やっぱり女の人がいると色々違うなあ」


「どういたしまして、

 ねえ、外浦くん、これから何か用事ある?


 もし、暇ならうちの夕を預かってくれない?


 あたしこれから会社に行かなくちゃなの。」


「うん、別にかまわないよ、その代わり」


「なあに?」


「今日夕食一緒にどう?」


「もちろんよOK。助かったあ。

 お願いするわ!」

お絵かきをして部屋で1人で遊んでいる夕を呼んだ。


「夕ちゃん、ママお仕事なの、

 このおじさんと少し一緒にいてくれる?」


「うん。ねえおじさんここまっくろすけでるんだよ

 ちゅうとかゴがつく黒いのも

 夕はねそういうのからママを守るの

 おじさんも守ってほしい?」


「どうかなあ。まずは見てみたいなあ、これから一緒に探検するか?」


「うん!する!ママいってらっしゃい。」


「うん、言ってきます。外浦くんお願いね。」


「「いってらっしゃーい」」


まるで親子のように声を合わせて送り出された。


もう打ち解けるなんて、

本当に不思議な人、

外浦くん。



そういえば私との出会いもそうだった。


初めて会ったのにまるで、

昔から友達だったみたいに打ち解けて

キスまで…


む、昔のことよ時効時効っ!








< 5 / 10 >

この作品をシェア

pagetop