メゾン・ド・フォーチュン
「ふうっ」

くらくらする。

悪意を大量に吸って窒息しそうになっていた。


義兄からは、悪意とは違うものを感じていたが、

あの人、秘書から『早く印を押して立ち去れ』

と言う明らかに邪魔ものへの悪意がみなぎっていた。

いつからだろうか、

望みもしないのに他人の悪意とか憎悪とかマイナスな感情が感じられるようにるようになったのは。

悪意なんて気持ちいいものではない。

感じなければそれに越したことないのに。


最近はこの性質もコントロールできるようになって上手くやってきたのに、

きっと今日のは強烈過ぎた。

余程私たちの存在が邪魔なのだろうな。

あれでは胎教にも悪いだろうに。



しかし、

これからはもっと気を引き締めていかないと、


もう、夫の実家からも一切援助は受けられない。


あの人が戻ってくると信じていても、

こうやって、あちこちから実質的に切られて、

あきらめが唯悪いだけだと言われているみたいで、

気持ちが折れずにはいられない。




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