【短編】ダンサー
「じゃあ、ホテル代あげるから。誰か探してその子と泊まりなよ」

1万円札を2枚つき出した。

「俺は麻衣さんと泊まりたいんだ」

払われた手からお札がひらひらと舞い落ちた。

「なんで名前・・・」

「あ・・・」

「ちょっと、なんで私の名前知ってるのっ?気持ちわる」

一歩後ずさりして睨みつけた。

ぎゅっと唇を固く結んだまましばらく間をおいて、前髪を手でかき上げながら言った。

「俺の名前は、拓海。これでいいでしょ?」

にこっと笑顔を作った。

「そんな事聞いてないよ、なんで・・・」

「公園からつけてたんだ」

私の言葉を遮った。

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