【短編】ダンサー
「公園で、見たでしょ?俺のこと」

「公園ってなに?知らないよ」

イライラして言って、ふと思い出した。

長い足にそのスニーカー、細い体にぴったりとしたTシャツ・・・さっきのターンの上手い子?

「・・・で何で後つけるのよ?」

見たと言っても、通りすがりにちょっと目に入っただけだし、それでナンパしようだなんてよっぽど自信があるって事?

「そのおかげで助かったじゃん」

そうだけど・・・、けど・・・。

「名前!」

「タ・ク・ミー」

「もー、なんで知ってるのかって、聞いてんの」

「麻衣さんも俺の名前知ってるじゃん」

不毛なやりとりにうんざりしてくる。

ばかばかしい、もうどうでもいいや、こいつがストーカーでも別に良い。

「もういいよ」

「そ、じゃあ、泊まろう」

そういう意味じゃないけど、もういい。

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