【短編】ダンサー
結局さっきまでいたホテルに入った。

こんなとこ一日に2回も来る私ってどうなの?あ、日付越えたから違うか。

「何笑ってるの?」

ソファーでタバコに火をつけた私の顔を覗き込んで隣に座った。

「別に」

その男、拓海はタバコを手から抜き取り、大きく吸い込んだ。

ゴホッ、ゴホッ・・・。

大きくむせた。

「何やってるの?ダンサーがタバコなんて」

急いでタバコを取り戻し、灰皿に押し付けた。

「麻衣さんだって、ゴホッ、ゴホッ・・・」

まだ咳き込んでる背中をさすると、見た目よりずっと筋肉がついていて、引き締まったダンサーの体を想像させた。

電気消しちゃえば顔は見えないし、こんなのもたまにはいいかもしれない。

今までとは違うタイプだけど、やってみたら一緒なのかもしれないし。

私にはたっぷり時間があるんだから。

「シャワー使ったら?」

やっと呼吸が整った拓海に言った。

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