【短編】ダンサー
次の瞬間、座ったまま、私に横から抱きついた。
「ちょっと、シャワー使ってからにしてよ」
暴れる私の耳元で独り言のように囁いた。
「良かった、ちょっと安心した」
「なにが?」
意味不明な言葉に、抵抗する力が弱まる。
拓海からは汗の匂いがして鼻の奥をくすぐった。
ダンサーの匂い、Hした時に男から流れる汗とは違う、少し爽やかで、少し甘い匂い。
それは、つい2年前までは私の周りにあふれていたし、私からも同じ匂いがしていた。
無意識のうちに鼻を近づけた肩がパッと離れ、数十センチ先で優しい微笑を私に向けた。
鼻に残った香りとその微笑がまた私をイライラさせ始める。
やっぱダメだ、コイツとは無理だ。
会話もかみ合わないし、それに、右足に残った指の感触。
足を引きずった事と古傷と言っただけで、その場所が的確に分かるなんてありえない。
偶然なはずが無い。
「足・・・」
「ちょっと、シャワー使ってからにしてよ」
暴れる私の耳元で独り言のように囁いた。
「良かった、ちょっと安心した」
「なにが?」
意味不明な言葉に、抵抗する力が弱まる。
拓海からは汗の匂いがして鼻の奥をくすぐった。
ダンサーの匂い、Hした時に男から流れる汗とは違う、少し爽やかで、少し甘い匂い。
それは、つい2年前までは私の周りにあふれていたし、私からも同じ匂いがしていた。
無意識のうちに鼻を近づけた肩がパッと離れ、数十センチ先で優しい微笑を私に向けた。
鼻に残った香りとその微笑がまた私をイライラさせ始める。
やっぱダメだ、コイツとは無理だ。
会話もかみ合わないし、それに、右足に残った指の感触。
足を引きずった事と古傷と言っただけで、その場所が的確に分かるなんてありえない。
偶然なはずが無い。
「足・・・」