【短編】ダンサー
「こんなとこにいたんだーーー」

夜に不似合いな、妙に明るい声が響いた。

顔を上げると、ひょろっとしたサングラスの男が立っている。

「探しちゃったよー」

言いながら近寄ってくる。

こいつらの仲間?今でもムリなのに3人になったら絶対ムリじゃん。

「誰だよ、お前?」

隣の男が言った瞬間、サングラスの男は足を振り上げ、その足は男の顔に向かっている。

長い足が鼻先に届きかけた時、身構えた男達の手が緩み、私の腕を離した。

代わりにサングラスの男の手が私の腕を掴み、

「逃げるよっ」

そう言って走り出した。

一瞬の出来事だった。

明るい道、暗い道、人にがんがんぶつかりながらやみくもに走り続けた。

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