【短編】ダンサー
ハァ、ハァ、これ以上走れないよっ。

急に足を止めた私に引っ張られ、よろけながら男も止まった。

「もう、いいんじゃないっ?」

「あ?そだね」

私はかなり息が切れているのに、呼吸一つ乱さずに答えた。

向き合ったまま変な沈黙が流れた。

えーーと・・・。

「ありがとうございました」

軽く頭を下げて去ろうとすると、男が口を開いた。

「俺、終電逃しちゃったから、泊めてよ」

はぁ?それじゃあさっきの男達と同じじゃん、2人が1人になっただけ。

「無理」

走って逃げようとしたが、さっき走ったせいで膝の痛みはひどくなり、頑張っても早足で歩くのが精一杯だった。

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