【短編】ダンサー
「なんでー?俺助けたよね?」

「だからお礼言ったじゃん」

後をついてくる。

「すげー頑張ったんだけど。ケンかなんてした事ないのに」

「それはどうも」

急いでも急いでも、その長い足は余裕で歩いて私を追い越し、行く手を阻んだ。

「おねえさん、俺、高校生だよ?未成年こんな夜の街に置いてくなんて酷くない?」

サングラスを外し、身をかがめて、わざと上目遣いにして、捨て犬みたいに目を潤ませた。

幼さの残る顔は確かに高校生くらいだけど、なんかいやらしい。

その目も、少し傾けた首も、年下の男の子かわいいでしょ?っていう演出ミエミエで気持ちが悪い。

「じゃあ、タクシー代あげるから、家どこ?」

「・・・」

フッ、体よりお金に目がくらんだか、高校生が大人なめんな。

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